このギターの正式な名称は「CLASSIC ART」と英文字表記。1994年にGOシリーズの復刻版として、100本限定で製作・販売されたものだ。この数量は1970年代の一部カタログモデルよりかなり多いので、昨今は中古品として割りと頻繁に見かける気がする。製造番号は「I94(1994年9月期出荷品)」に集中し、ボディはセン/マホガニー/センの3層ラミネート構造アーチドトップでバックコンターも入れられている。これはオリジナルのGOシリーズには該当品がない。一連のオリジナルで、同種の材が使われたのは前期のGO1200と700だが、両機種ともフラットトップだった。ネックがメイプル/ウォルナットの5ピースであり、コントロールにミニSWを持たないこともあって、何となくGO700前期型のアーチトップ版といった感じがある(22フレット仕様なのは後期型と同じ)。しかしネックアングルを含め、木部のサイズと形状はオリジナルとはかなり異なっている。どのGOと比べても全長が3〜4センチは短いのが容易に確認できる。生産工場に変更があったとのことで、図面も現物も用意せず作られたのだろう。カラーについても、1970年代のダークステイン(DS)とはかなり違った印象を受けるものだ。復刻版とはいうもののハードウェアは全てが一般的なものであり、やや寂しい出来映えと感じる方も多いはずだ。GOをモチーフにしたニューモデルと考えた方が良いのだろう。ピックアップには「DRY」という名称が与えられたが、もちろん内容は1980年代のものとは違う。ネガティブな事ばかり続いてしまったが、このギターの美点は軽量(弦を含んで3.6Kg)なことと、やはり現代的な音がすること(21世紀的基準で、相当な実力のビンテージサウンドに聞こえる。ギブソン57クラシック好きな方が気に入りそう)。このギターには面白い経緯があり、企画を立てたのが関西だったと聞く。製作の指揮、流通も関西が受け持ったようで、発売当初は関西地区限定品かと思うような状況だった。私自身、雑誌で新製品紹介記事を読んだ後、長らく現物に接することができず、初めて見たのは全国に販売拠点を持つ大手量販店店頭で、1998年のことだったと記憶している。その時点では大変にお買い得な値段が付けられていたのだが、品質・内容としては充分に10万円クラスのギターと認められる。いつの日にか、70年代の香りを漂わせる完全復刻版に登場して欲しいと期待が募るところだ。 |